シングルシードオイスター
シングルシードオイスターとは、言葉通り一粒(シングル)種(シード)の牡蠣(オイスター)のことです。「ひがた美人」は、産まれてから収穫されるまで、一粒一粒バラバラの状態で育てられた牡蠣です。シングルシード方式で作られる牡蠣は、深みのあるカップ(殻)を形成するため、肉厚な身を作れるのが特徴です。
なぜ、可食部分ではない殻の形にこだわるのか?それは、味に違いが表れるからです。牡蠣は同じ品種でも、育った環境により、殻の形、深さが異なります。ひがた美人は、真牡蠣(マガキ)という一般的な品種でありながら、比較的小粒で、深いカップに「まあるい」身が入っています。干潟という厳しい環境で育ち、身が引き締まっているため、大きくはありませんが、その分旨味が凝縮されているのです。
真牡蠣(マガキ)は、潮の満ち引きによって、干上がる場所に好んで生息します。ですから干潮時に干上がってしまう干潟でも、牡蠣の養殖には全く問題がありません。実は海外では、干潟域での牡蠣養殖が盛んに行われていますが、国内での干潟域での牡蠣養殖は、ここ中津がはじめてです。
干潟で養殖された牡蠣は、満潮時は波に揉まれカゴの中で転がるため、フジツボなどの付着物が付きにくい美しい殻となります。また干潮時には海面から出て風にさらされるため、牡蠣は水分の蒸発を防ぐために殻をより固く閉じます。この干満を繰り返すことにより、貝柱が太くなり甘みが凝縮されていきます。海外では、干潟で育てられた甘みの強い牡蠣が人気となっています。
FLUPSY(フラプシー)とは、海水をポンプにより強制的に循環させることで餌環境を整えるための設備です。この中間育成設備に入れると、わずか1~2ヶ月で、ボックスで養殖可能となる20~30ミリ程度にまで成長します。また、この中間育成を行うことにより、養殖期間の短縮だけでなく、明確なトレーサビリティ(生産管理)が分かるようになっています。
漁港に浮かべたFLUPSY(フラプシー)に入れる時点では、種苗(稚貝)の大きさは、わずか2ミリ程度です。(写真)
FLUPSY(フラプシー)で1~2ヶ月間の中間育成を行った結果、稚貝は約10倍以上の20~30ミリ(写真)に成長しました。このサイズになるとボックスに移して、干潟での本格的な養殖へと進みます。
ひがた美人は、シングルシードオイスターです。一般的な牡蠣養殖とは異なり、一粒ずつ養殖バッグの中で転がりながら育ちます。養殖バッグはさながら、干潟に設置された牡蠣の揺りかごです。
一直線に杭が並ぶ「レーン」が何本も設置され、レーンのワイヤーに牡蠣が入れられた養殖バッグが取り付けられています。養殖バッグは、通常海の中にありますが、干潮時には海面から姿を現します。
潮の満ち引きや波、風でバッグが揺れるたび、養殖バッグの中で牡蠣が転がります。この揺れが深みのある綺麗な殻を作り出します。また、干潮時には、太陽を浴び、風に吹かれ、甘みとうまみが凝縮された強く健康な身へと育ちます。
波と風と太陽が作り出した「ひがた美人」も、いよいよ収穫のときです。船が使える(運べる)水位の時間帯を狙って行われます。
ワイヤーから養殖バッグを取り外したら、バッグごと船に上げます。ずっしりとしたバッグの重みにひがた美人の成長を感じる嬉しい瞬間ですが、なかなかの重労働です。
船の上ですぐにバッグから牡蠣を出し、バッグと牡蠣を分けます。
ひがた美人のおススメの食べ方は生食です。しかしながら、牡蠣は大量の海水を取り込んで、水中のプランクトンなどを餌にしていますので、養殖海域の影響を受けやすいのが特徴です。当支店では、法令に基づいた所定の検査を行い、衛生管理の徹底を図っています。
水揚げ後は、専用の洗浄機で付着物などを取り除き、表面を綺麗にします。通常の養殖とは異なり、養殖バッグの中で転がりながら育つため、付着物は非常に少ないのが特徴です。
殻の洗浄が終わったら選別を行います。これは、商品を一定の規格で販売するために必要な作業です。牡蠣1つずつの重量を量り、重さの区分ごとに自動的に分けられていきます。
最後に、水槽で24時間以上高精度滅菌海水を掛け流して浄化します。この過程で体内の雑菌や老廃物などが排出されます。また法令に則り、所定の検査(海域及び生体)を実施しています。ノロウイルスについては週1回の検査を実施し、安全性が確認されてから出荷を行っておりますので、生食で安心してお召し上がりいただけます。
自信を持ってお勧めします